イソトレチノインは危険?ニキビ治療薬のイソトレチノインについて詳しく解説します
イソトレチノインとは
イソトレチノインは、ビタミンAの誘導体で、主に重度のにきび治療に用いられる内服薬です。アクネ菌の抑制、皮脂腺の縮小、炎症の軽減などの効果があり、外用薬などの治療では効果が得られない場合に使用されることが増えております。FDA(米国食品医薬品局)により認可されており、海外での中等症~重症ニキビ治療ではガイドラインでも高い推奨度となっております。しかし日本では現時点で未承認の医薬品となっております。
イソトレチノインの効果は、多くの研究で実証されています。特に、重度の尋常性ざ瘡(にきび)患者に対して有効であり、長期間の寛解を得られることが多いです。イソトレチノインは、皮脂腺の活動を抑え、毛穴の閉塞を防ぐことでにきびの原因を根本から取り除きます。また、炎症を抑える効果もあり、赤みや腫れを軽減することができます。
イソトレチノインの効果
イソトレチノインは、その強力な効果で知られています。主な作用機序として、以下のポイントが挙げられます:
- 皮脂腺の抑制: イソトレチノインは皮脂腺の活動を著しく減少させ、皮脂の分泌を抑制します。これにより、皮脂が毛穴を詰まらせることを防ぎます。
- 抗炎症作用: イソトレチノインは炎症を抑える効果があり、にきびの赤みや腫れを軽減します。
- 角質化の正常化: 毛穴の中の角質細胞の過剰生成を抑え、毛穴の閉塞を防ぎます。
これらの効果により、イソトレチノインは重度のにきびに対して非常に有効であり、多くのニキビ治療中の患者さんが長期的な寛解を得ています。
イソトレチノインの使用容量、使用期間
イソトレチノインの使用量と使用期間は、患者の体重や症状の重さによって異なります。一般的には、0.5mg~1.0mg/kg/日の投与が推奨されており、治療効果が表れるまでの期間は通常6ヶ月から12ヶ月程度です。
ある報告では、0.5mg~1.0mg/kg/日で治療効果が表れ、積算内服量120mg~150mg/kgに達すると内服終了後の再発を抑えられるといわれています。例えば、体重50kgの患者の場合、25mg~50mg/日、トータルで6000mg~7500mgが目安となります。
ただし、日本人の皮脂の分泌は欧米人よりも少ないことが多いため、当院ではにきびの治療量として20mg/日を6か月程度継続することが多いです。欧米での報告の半分程度にはなってしまいますが、この容量でも十分な効果が得られることが多いです。効果が得られない場合は体重に合わせて30mg/日、40mg/日と増量していくこともあります。
イソトレチノインの副作用
イソトレチノインは強力な効果を持つ一方で、副作用も少なくありません。主な副作用には以下のものがあります:
- 乾燥: これは80%以上の患者様に現れる症状です。皮膚や粘膜が乾燥しやすくなり、唇や鼻の中が乾燥することがあります。リップクリームや保湿剤を使用することで対策できます。
- 抑うつ: 過去には一部の患者で抑うつ症状が出現する可能性が言われておりましたが、近年の報告では関連性はないことが言われております。
- 臓器障害: 長期間の使用により肝機能や脂質代謝に影響を及ぼすことがあるため、体調に応じて血液検査を行うこともあります。
イソトレチノインを内服する際に注意する点
イソトレチノインを内服する際には、いくつかの注意点があります:
- レーザーとの併用: イソトレチノイン使用中は、合併症を避けるためレーザー治療や光治療を併用しないことが推奨されておりました。しかし近年の報告では問題なく施術を行えることが報告されております。皮膚に著しい乾燥がある場合は施術を避けたほうが無難でしょう。
- 避妊: イソトレチノインは胎児に重大な影響を及ぼす可能性があるため、女性は治療中および治療終了後少なくとも1ヶ月間は確実な避妊を行う必要があります。内服終了後1か月を過ぎると体内から分解・排出されイソトレチノインの影響はなくなるといわれております。
- 献血: イソトレチノイン使用中、使用後1か月までは献血を避けることが推奨されます。イソトレチノインが血液に残り、受血者に影響を与える可能性があるためです。
これらの注意点を守りながら、医師の指導の下で安全にイソトレチノインを使用することが重要です。
当院ではイソトレチノインのメリット・デメリットを詳しくお話しており、慎重な経過観察とともに処方しております。
なかなか改善しないニキビでお悩みの方は是非当院のカウンセリングへお越しください。
参考文献
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Layton, A. M. (2009). The use of isotretinoin in acne. Dermato-Endocrinology, 1(3), 162–169.
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Strauss, J. S., Thiboutot, D. M., Krowchuk, D. P., et al. (2007). Guidelines of care for acne vulgaris management. Journal of the American Academy of Dermatology, 56(4), 651-663.
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