イソトレチノインの副作用について

乾燥

イソトレチノインの最も一般的な副作用は乾燥です。皮膚や粘膜が乾燥しやすくなり、唇や鼻の中が乾燥することがあります。皮脂の分泌量が多い方はあまり気にならないこともありますが、8割以上の方が通常時よりも乾燥を自覚します。

光線過敏症

イソトレチノインは皮膚を光に対して敏感にするため、光線過敏症を引き起こすことがあります。日光を浴びると赤みやかゆみなどの症状が出現します。日光を避けるために、日焼け止めや帽子、長袖の衣服を使用しましょう。

肝障害、脂質異常症

長期間の使用により、肝機能や脂質代謝に影響を及ぼすことがあります。長期間の内服を行う場合は血液検査などでモニタリングを行うことが必要です。

抑うつ

一部の患者で抑うつ症状が報告されています。しかし、最近の研究ではイソトレチノインと抑うつの関連性は明確ではないとの報告もあります。例えば、2017年に発表されたメタアナリシスでは、イソトレチノインと抑うつ症状の間に統計的に有意な関連性は見られないと結論付けられています。

膵炎・消化管障害

稀ですが膵炎や消化管障害が報告されています。腹痛や背中の痛み、吐き気などの症状が現れた場合は、直ちに医師の診察を受ける必要があります。

催奇形性

イソトレチノインは胎児に重大な影響を及ぼす可能性があるため、妊娠中の使用は禁止されています。治療中および治療終了後少なくとも1ヶ月間は確実な避妊が必要です。イソトレチノイン内服終了後1か月を経過すると体内から大部分が排出されるため影響はなくなるといわれております。

イソトレチノインの副作用は様々ですが、主なものとしては乾燥であり、絶対に気をるけることとしては避妊を徹底するということになります。

イソトレチノイン内服時のその他の注意事項について

内服中のレーザー治療併用について

以前はイソトレチノイン内服中にレーザー治療を併用すると、合併症の頻度が上がるといわれており基本的には禁忌となっておりました。しかし近年では様々な報告が上がり、イソトレチノイン内服中でもレーザー治療との併用は安全に行えるとの見解が多くみられるようになりました。脱毛レーザー、フラクショナルレーザー、色素レーザーなどでの報告があります。著しい乾燥などがない場合はレーザーとの併用も可能であることが多いですが、イソトレチノイン内服中で乾燥症状が強く出ている場合はレーザー治療を避けたほうが無難でしょう。

内服中、内服終了後献血を避けます。

イソトレチノイン使用中および治療終了後少なくとも1ヶ月間は献血を避ける必要があります。薬物が血液に残留する可能性があり、受血者に影響を与える可能性があるためです。内服終了後1か月程度経過すれば血中から排出されますので影響はなくなるといわれております。

 

まとめ

イソトレチノインは重度のにきび治療に非常に有効な薬ですが、副作用のリスクも伴います。使用中は医師の指導のもとで適切なケアを行い、定期的な検査を受けることが重要です。副作用が現れた場合は、速やかに医師に相談し、適切な対応を行うことが求められます。


イソトレチノイン内服を検討されている方は一度当院のカウンセリングへお越しください。

参考文献

• Layton, A. M. (2009). The use of isotretinoin in acne. Dermato-Endocrinology, 1(3), 162–169.
• Strauss, J. S., Thiboutot, D. M., Krowchuk, D. P., et al. (2007). Guidelines of care for acne vulgaris management. Journal of the American Academy of Dermatology, 56(4), 651-663.
• Sundström, A., Alfredsson, L., Sjölin-Forsberg, G., et al. (2017). Association of suicide attempts with acne and treatment with isotretinoin: retrospective Swedish cohort study. BMJ, 357, j1288.
• Rahman, Z., MacGregor, J. L. (2020). Safety of Fractional Laser Treatment in Patients on Isotretinoin Therapy: A Retrospective Study. Dermatologic Surgery

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