現在様々な治療選択肢があり、これらを組み合わせることが良好な治療結果をもたらすために重要となります。
今回は肝斑治療について、論文・ガイドライン・臨床経験をもとに詳しく解説いたします。
肝斑の原因
これまで以下のような原因が考えられてきましたが原因はいまだはっきりとしておりません。
- ホルモンの変動: 妊娠や経口避妊薬、ホルモン補充療法などのホルモン変動が肝斑の発生に関与していると考えられています。
- 紫外線曝露: 紫外線はメラニン生成を刺激し、肝斑の症状を悪化させます。
- 遺伝的要因: 家族歴がある場合、肝斑の発生リスクが高まります。
- その他の要因: ストレスや特定の薬物、化粧品なども肝斑の原因として考えられています。
妊娠、経口避妊薬など女性ホルモン関連、日光暴露、化粧品・外用剤、甲状腺疾患、肝疾患、寄生虫、などが考えられていますが、未だ原因ははっきりとしていません。摩擦、皮膚の炎症などは悪化の原因ともなります。
肝斑の特徴
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外観
茶色や灰色の不規則な形の斑点として現れます。頬骨~こめかみ、額、口周辺に多く見られます。通常のシミ(老人性色素斑)とひかくすると境界がやや不明瞭であり地図状の色素班として現れることが多いです。
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特徴
多くは30~40代の女性に多く見られますが、まれに男性にも発生します。妊娠中、経口避妊薬の使用中、ホルモン補充療法中の女性に発生しやすいといわれております。また夏場・妊娠時に増悪することから特に女性ホルモンや紫外線の影響が強いと考えられております。
診断
主に視診によって診断されることが多いです。視診での診断が困難なものも多く論文に掲載されている肝斑症例も、厳密には肝斑といい難い症例も多数含まれているのが現状です。
その他ダーモスコピーやウッドランプ検査なども診断に用いられることがありますが一般的ではありません。
治療法
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薬物療法
肝斑治療において最も重要なのが薬物療法となります。以下の選択肢を複数併用することでより効果的な治療結果が期待できます。
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トラネキサム酸:メラニンの生成を抑制します。
様々な文献で有効性が報告されており、肝斑治療の最も大事な選択しです。内服治療が推奨されますが、外用やエレクトロポレーションなども有効と考えられます。
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ビタミンC:メラニンの生成を抑制します。
こちらも様々な文献で有効性が報告されております。形成外科ガイドラインでは外用薬の有効性が取り上げられております。
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ハイドロキノン: メラニンの生成を抑制する美白剤です。
形成外科ガイドラインでも高い推奨度となっておりますが、有効性を疑問視する報告も上がっております。ハイドロキノンにより皮膚の炎症を誘発するためと考えられます。
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トレチノイン: 皮膚のターンオーバーを促進し、色素沈着を改善します。
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レーザー治療
レーザー治療はシミに対する一般的な治療方法ですが、照射の仕方を間違えると肝斑をかえって悪化させてしまう可能性があります。以下の2つが現在日本のガイドラインで推奨されている治療となります。
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IPL(フォトフェイシャル)
厳密には肝斑自体を薄くするというよりは肝斑に併発したシミ(老人性色素斑)を薄くすることで効果を実感されるという印象の治療です。しかしIPL治療を継続して肝斑が有意に改善したという報告や当院での治療で肝斑の改善を認める患者様も多いです。
当院で採用しているステラM22では肝斑を悪化させない特殊なモードがありますので肝斑部分には特殊モード、それ以外の部分には通常モードを照射することで慎重に治療することが可能です。
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レーザートーニング
低出力QスイッチNd-YAGレーザー照射は日本で一般的に行われる肝斑治療です。フォトフェイシャルと比較すると老人性色素斑に対する治療効果は落ちますが安全に肝斑を治療することが可能です。治療回数としては少なくとも10回程度の治療が必要であることが多いです。
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その他の治療
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ピーリング
当院ではリバースピールという特殊なピーリングを使用しております。これまで改善が難しかった肝斑や炎症後色素沈着に対する治療として効果を期待できます。またコウジ酸を含むマッサージピールも肝斑や色素沈着の治療として有効性が報告されております。
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ポテンツア
マイクロニードル+RF(細い針をお肌に刺し、高周波RFを加える治療)は近年登場した肝斑の治療選択肢です。これまで治療後に高頻度で再発してしまうという性質がありましたが、ポテンツァの治療で肝斑治療後の状態を維持する効果が文献で報告され始めております。
いろいろ試してもなかなか改善しなかった肝斑や再発してしまう肝斑に対する新たな選択肢として期待されます。
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注意点
肝斑の治療には日常生活のケアも非常に重要となります。
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紫外線対策
日焼け止めの使用や帽子、サングラスなどの紫外線対策が重要です。長時間外出される場合は日焼け止めは3時間に1度塗りなおすことがお勧めです。
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摩擦を避ける
摩擦により皮膚に炎症を起こし肝斑が増悪してしまう可能性があります。日々のスキンケアではお顔の摩擦を極力さけることが重要です。
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ホームケア
肝斑の治療はクリニックの医療行為だけではうまくいかないことが多いです。日々の内服や外用治療が非常に重要であり、ホームケアのみでも一定の改善は見込めます。毎日のスキンケアに肝斑に対する治療を組み合わせることが大切です。
まとめ
肝斑の治療には時間がかかることが多く、忍耐強く継続していただくことや日々のケアが非常に重要となってきます。
肝斑には適切な治療を適切なタイミングで組み合わせ行っていくことが重要です。
当院では上記の肝斑治療選択肢を全て取り揃えており、診察・カウンセリングでは患者様それぞれに合った肝斑治療をオーダーメイドでご提案しております。
肝斑でお悩みの患者様は、当院のカウンセリング予約をお待ちしております。
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神奈川県小田原市の美容皮膚科クリニック
所在地:神奈川県小田原市栄町1-5-16オゾン2ビルA棟2階
クリニック名:MIO SKIN CLINIC | ミオスキンクリニック
電話番号:0465-20-8223
提供サービス:医療脱毛、フォトフェイシャル、ハイフ、ポテンツァ、ボトックスなど、多岐にわたる美容皮膚科治療を提供しています。
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